私を包む,不器用で甘い溺愛。

「可愛すぎるから,いまはだめ。あとで,あとで一杯聞きたいから,今は取っておいて」



どういう……意味……なの?



「好きだよ,ありす」



その割に,自分は糸も簡単に口にしてしまう。

それでは代わりにはならないのよ,榛名くん。

私は,自分で伝えたかったの。

榛名くんはむっと小さく顔に出した私を眺めて,手のひら一杯に包まれる私の顔を,親指で目の端をさすった。

また,静かで妙なムードになる。

ここに全ての時間が止まって,地球上2人きりになったような。

お義母さんが来る前のシーンを彷彿とさせた。



「私ね,榛名くん」

「……?」

「そうゆう行為はやっぱり怖いし,例え榛名くんの返事がyesでも,今日はそんなつもりじゃなかった。でも……」


ー榛名くんと,きすくらいは,してみたいと……思ってたのよ……



キスは絵本にすら出てくるくらいの,定番で憧れにもなる愛情の形。

私にも受け入れやすくて,寧ろ自ら望んでしまう。

こんな自分をさらけ出すのは,はしたなくはないかしらと心配になるけれど,言わなければして貰えない。

自分からする勇気も,その許可を取る勇気もないのだから,やはり頼むしかないのだ。