私を包む,不器用で甘い溺愛。

何を言われるのと,何も見えない揺れる瞳に思う。

零れそうな涙は,榛名くんの親指が吸ってしまうように引っ付いていった。



「……ありすは,何があっても泣かないらしいけど。俺の前では直ぐに泣いちゃうんだね……ありすが初めて俺に抱きついて来た日も,そうだった」

「……? 急に,なに……」

「君の本音が聞けて,どんなに嬉しかったろう,ありす。君は知らないんだ。俺だけが特別って,こんなに幸せなこと,ないのに。だから」



ー思うよ,思う。俺だってありすに触れたいって,思う。



ぎゅうっと私を抱き寄せた榛名くん。

苦しいそのハグに,私は心臓を止める。

カッと顔に血が巡って,どきどきと彼の腕を掴んだ。



「でも,ありすが大事だから,臆病になる。ありすの準備がないのなんて,分かってるから,それも気にしなくていい。それに俺,そんなことしなくても,ちゃんと幸せだから」



まだまだぎゅっと抱き締める榛名くん。

まるでその行為自体が,証だとでもいうように。

私も,榛名くんに抱き締められるのは好き。

どきどきして,安心して,でもやっぱりどきどきして。

息が詰まるようでいて,目も開けられないようでいて。

誰のそばよりも息がしやすくて,顔全体で笑うことが出来る。

そういう,私と同じ気持ちだと,思っていい?