『えっ,もうすぐ3ヶ月終わるって……! 有栖それでキスもまだとか……正気?!』
ここずっと,私の頭を悩ませたすずちゃんとの会話。
ふぅと熱い息を吐く。
クリスマスも近いのに,だとか。
あんなにラブラブなのに,だとか。
いつか,榛名くんの話を聞くついでに甚平くんから聞いてしまった,世の高校生カップルのあれこれだとか。
そんなものが,何度も巡って。
『榛名くん! 有栖ちゃん! 私,もう出掛けるから,好きに過ごしてちょうだいね~!』
下から響くお義母さんの声にも,反応1つ示せない。
「ありす?」
突然黙りこくった私を前に,榛名くんに心配させてしまう。
言わなきゃ,聞かなきゃと思えば思うほど,声がでない。
そっと肩に触れられそうになって,びくりと大袈裟に振る舞ってしまう。
今,榛名くんに触れられるのは,いけない気がしたから。
ああ,違うの,これでは誤解させてしまう。
じんわりと耳が熱くなって,榛名くんは私から手を引いてしまった。
静寂の中向き合うのは男女。
「あ,あの……榛名くん。私達って,お付き合い,してる……わけなんだけど」
ようやく出た言葉も,喉が乾いて,顔が沸騰するように熱い。
「? ありす,どうしたの今さら」
それでも私の言葉の調子から,榛名くんはどこか安心したようだった。
「あ,あのね……!」
それならばとこのいつも通りの空気ならと
「私のこと,もしかして……抱きたいとか,思ったりするのかな……って?」
私は残る全ての勇気を,音にした。
「……え?」
驚く榛名くんの顔を,私は赤らむ瞳にじっくりと焼き付けた。



