私を包む,不器用で甘い溺愛。

「拗ねちゃったの? ありす。そっか,そうゆう反応になるんだね。ねぇ,分かってる?ありす。この生まれ持った力の最大の美点」

「美点……?」



まだ何か特出したものがあるのだろうか?



「忘れないんだ。視覚ってとっても強いから,匂いも声も触感も感じなくったって,いいも悪いも思い出せる。母さんの笑顔や幸せを忘れないでいられる」

ーつまり,何が言いたいかって言うと。



マジックのネタバラシの様に,榛名くんは何よりも楽しそうな声を出す。

つまり……?



「ありすがいつ,どこで,何をしたらどう照れたのか,どんな反応をしたのか。俺は全部思い出せるんだ。その日のファッションも,俺からのキスに恥じらう姿も,全部」



それって,それって……!



「私が恥ずかしいって,ことじゃ……ない?」

「ふっ本当に,鈍感なんだから。そうだよ,そうやって恥ずかしがるとこも,それでも受け入れてくれてるとこも。全部記憶されていく。ありす,君の幸せが,笑顔が。未来の俺の幸せなんだ」



なんて幸せそうに,なんて平気な顔で言うのかしら。

とんでもなくキザな台詞。

どうして私の方が恥ずかしい気持ちになっているのかしら。

それすら似合ってしまう,かっこよくて可愛い榛名くんは,トランプを片付けていってしまう。