私を包む,不器用で甘い溺愛。

「そこは考え方1つだよ,ありす。プラマイゼロさ。俺はこれを利用して,授業を受け,俺自身が理解さえすればテストなんて朝飯前。もちろんいくつか正解とずらすけど」



理解さえすれば……

そう,そっか。

カメラアイって,目の前の事象を切り取って記憶する,それだけなのね。

変化のない全く同じ問題ならいいけれど,記憶した事を使えるかどうかは,その人次第……

そしてそれも,問題ない……

だから,周りの常識とあわせて,寧ろ外して見せる……



「やなことなのは,そう。1つの出来事に,1つの感情に執着してしまうこと」



なんて哀しい声を出すのだろう。

その声の,感情が向く方向が,2人の母や今まで出会ってきた人達に向いていることは,分からないはずもなかった。

榛名くんの言葉や行動の数々が,今になってより濃く身に染みる。



「……だから,さっきのトランプもずるみたいなものだよ。ありすが何を持ってどこに置いたか,ヤマには何が出て何が残っているのか,全部分かってしまうんだもの」

「……じゃあ,じじ抜きくらい勝ちたかったわ」



ふいっと顔をそらすと,榛名くんは幸せそうに笑った。