甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

 ひっそりと、声には出さないけど私はそう思っていた。



「失礼しま~す。」

 放課後、私は教室には留まらずすぐオカルト同好会部室に行く。

 この部活動は、学校生活で二番目に楽しい事。

 一番は勉強だけど……。

 緩い声で室内に入ると、今日も私は二番乗りだったらしく。

「あ、空音いらっしゃい。今日も早いね。」

「……風真君が早いだけじゃん! 私、風真君のせいでまだ一番乗りなった事ないのに!」

「あはは、それは申し訳ないね。」

 絶対思ってないやつだ、これ……。

 部室の一番の奥の椅子に優雅に座って、貴族スマイルを浮かべている人物。

 ブレザーの代わりにシンプルで大きなカーディガンを羽織っている彼。

 彼こそ、この部活の部長。

 ……いや、同好会だから会長のほうが良いかもしれない。

「今日は何、しようかな。」

 ぽつりとつぶやく姿も、また優雅で。

 そんな彼は私の一つ上の高野風真(たかのふうま)君。

 風真君とはこの同好会を通じて仲良くなった。

 だから本来は、先輩やさん付けをしたほうが良いんだろう。