甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

「へぇ……まだ、ね。」

「っ! い、いいから離れて!」

 ……朝から私は、何を見せつけられているんだろう。

 乾君は完全に杏ちゃんにデレデレだし、杏ちゃんも認めていないだけでまんざらではなさそう。

 杏ちゃんから乾君と仮交際をしていると言われた時は、過去一番びっくりしたと思う。

 あんなにプレイボーイを嫌っていた杏ちゃんが、プレイボーイ代表格の乾君と仮とはいえ付き合うなんて。

 杏ちゃんは最初は渋々だったらしいけど、最近は全くだ。

 ……早く付き合っちゃえ、と思うのは私だけだろうか。

 それに……ね。

「乾! 私は空音と話してたんだから、邪魔しないで!」

「……分かったよ。まぁ隣の席だし、後でいっぱい可愛がってあげる。」

「遠慮します!」

 『杏は仮とはいえ俺のもんだからね。』と言わんばかりの痛い視線が、私に向けられているのですが……。

 杏ちゃん、ここまで愛されてるなんて……幸せ者だね。

 おかげで私は、乾君の嫉妬の対象になっているらしいけど。

 まぁ、乾君が杏ちゃんと遊び目的で付き合ってないだけ良いと思わなきゃ。