甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

 それこそ、からかわれるかもしれない。

 だから私はぎゅっと唇を噛んで恥ずかしさに耐え、必死に無心になろうとしていた。



 トンネルから脱出し、風真君は私を近くの木陰に連れていってくれた。

 けどそこまで行くのにもお姫様抱っこだったから、誰かに見られたらどうしようとばかり思ってた。

 木陰の近くに運よくベンチがあり、そこに座らせてくれる。

 風真君も私の隣に座り、真っ先に眉の端を下げた。

「ごめん空音。そんなに無理だなんて、思ってなかった。」

 小さく頭を下げ、申し訳なさそうに苦しそうな声を出す風真君。

 本当は起こりたかった。だから言ったのに、私は実際に行くのは無理だ……って。

 でも、できなかった。

 風真君は楽しみにしていた。同好会のみんなだって、わくわくを隠しきれてなかった。

 だから私も、もしかしたら楽しめるかもって心のどこかで思ってた節もある。

「……私のほうこそごめんね、風真君。私がもっと、こういう事に強かったら良かったんだけど。」

 あはは……と乾いた笑みで、私も謝る。