甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

 だけど私はその途端、思わず大きな声を出してしまう事になる。

「ふ、ふうま、くっ……こ、この状態は……?」

「腰抜けたでしょ。ごめんね、空音がここまでダメだったなんて気付けなくて。」

「そ、そういうわけじゃ、なくって……この、体制って……」

「あぁ、いわゆる“お姫様抱っこ”ってやつかな。」

 ……お姫様、抱っこ?

 風真君の言葉を頭の中で繰り返してから、ようやく理解する。

 そして今の状況が分かった瞬間に、私の顔は真っ赤に染まった。

 お姫様抱っこ……!?

「お、降ろして風真君っ!」

「降ろしたら歩けないでしょ。さっき腰抜かしてたのに、その状態で歩けると思ってるの?」

「う……で、でもこの体制は……」

「この体制が、どうかしたの?」

 さっき腕を伸ばしたからか、私の腕は風真君の首に回ってる状態で。

 そんな風真君は私を軽々と持ち上げて、意地悪そうに微笑んでいた。

 ふ、風真君がいじめてくるっ……!

「な、何でもないよ……!」

 言えない。あんな意地悪そうな表情の前で、「恥ずかしい」だなんて。