甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

 分かんない。

 もしかしたら、目の前にいるであろう風真君はお化けかもしれない。

 でもお化けは、こんなに温かい事を言わない……気がした。

 風真君を、信じるなら……。

 風真君のことは信頼している。杏ちゃんと同じくらいって言っても過言じゃない。

 ……それに、オカルトが好きな私を肯定してくれたのは……間違いなく風真君だったから。

『同じ趣味嗜好の人を見つけられて、本当に良かった。』

 そう言って、私をオカルト同好会に引き込んでくれたから。

 だから私はそんな風真君を、信じたい。

 あの時の言葉を同じ温かさが、風真君の訴えから聞き取れたから。

「……っ。」

 怖さはあるけど、勇気を振り絞って恐る恐る手を伸ばす。

 体が震えているから手も震えていて、完全には伸ばしきれない。

 でもそれで良かったらしく、風真君は安堵の息を洩らした。

「……ありがとう、空音。」

「ふぇっ? わぁっ……!」

 柔らかい言葉が聞こえたと同時に、ふわりと抱き上げられる感覚に陥る。

 一体何が起きているんだろう……と、反射的に目を開けた。