甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

 そうしたら少しは安心できたのに……。

 そう思って落ち込んでいる間にも、再びびっくりアクションが起こる。

「ひっ……! ふ、ふふふ、ふうまく、あ、ああれ……っ!」

「どうしたのさそんな慌てて。」

「何かあそこにいるっ……!」

「え、どこ?」

 ほら、あっちだよ……!

 白いふわふわしたのがいっぱい……!

 風真君の手を握る力を強めて、絶対に離さないようにする。

 それでも恐怖が薄れる事はなくて、私の心臓は嫌な音をとめどなく立てていた。

 私が震えながら風真君に伝えると、風真君は少し目を瞠った後。

「あれ、きっとペンキだよ。多分長い間放ってたから、塗装が剥げてきちゃってるんだ。」

「ふぇ……? オーブじゃ、ない……?」

「うん、違うみたいだよ。」

 な、何だぁ……良かった、オーブが出てきたわけじゃなくて……。

 ほっと安堵し、風真君の手を握る力を少しだけ弱める。

 ……その瞬間、だった。

『ねぇ、こっちに来て?』

「うひゃぁっ……!?」

 背中に、ゾクッと寒気が来る。