甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

「……空音は、そうやって笑ってるほうが似合うよ。」

 ふわっと、花が咲くように微笑んだ風真君。

 ――ドキッ

 ……え?

 今、私心臓が……。

 風真君の笑顔を見た時、きゅーっと心臓が締め付けられるような気がした。

 でもそれはほんの一瞬だけだったから、深く考える余裕なんてなかった。



「……ここ?」

「うん、ここだよ。結構歩いたね。」

 あれから数分歩き、やっと着いたトンネル。

 それはいかにも、というような古びたものだった。

 傷も錆も見えて、今は使われていない旧トンネル。

 今はあっちのほうに道が開通したから、ここは使われてないんだっけ……。

 なんて思いながら、風真君の後ろに隠れる。

「空音、どうしたの?」

「……やっぱりちょっと怖いよ。ね、もう今日は帰らない?」

「だから大丈夫だって。何かあっても絶対、俺が守ってあげるから。」

 風真君は振り返って、私の頭をポンポンと撫でてくれた。

 まるで子供の扱いで、むーっと頬を膨らませる。

 私、やっぱりわがまま言ってるのかなぁ……。