甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

『何か咲来って女子らしさがねーよな。オカルト好きとか、気が合う気がしねーわ。』

『それなー。女子ってもっとこう「きゃー怖ーい。」っていう奴のほうが可愛くない?』

『分かるわーそれ。』

 中学時代、まだ私がお化け屋敷が得意だった頃。

 男子がそう言って、楽しそうに笑ってたのを思い出す。

 そんな事があったから、私はオカルト好きをあまり公言しなくなった。

 今覚えばそこまで気にする事じゃないのに、と思うけど。

 それでも当時の私には、結構心に来たんだ。

「私なんか、誰も好きにならないから。」

 風真君に聞こえないよう、ぽつりと呟く。

 だったはずだけど、しっかり聞こえていたらしく。

「そんな事ない。」

 ……って、はっきりとした口調で言われた。

 その拍子に足を止めてしまい、少しばかり呆気に取られる。

 でもすぐ、私には分かった。

 風真君、気遣ってくれてるんだ……って。

 そうだよね、風真君は優しいもん。大丈夫って、遠回しだけど言ってくれてるんだ。

「えへへ、ありがとう風真君っ。」