甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

「杏ちゃんおはよう~。やっぱり眠たそうに見える……?」

「うん、とっても見える。」

 私の言葉を直球に肯定してきたのは、私の友達の杏ちゃん。

 杏ちゃんとは性格も好みも違うけど、すっごく気が合うんだ。

 きっと、私と杏ちゃんには運命の糸が繋がっているに違いない!

 ……なんて、私は本気で思ってたりする。

 だけど杏ちゃんと運命の糸が繋がっているのは、私ではないらしい。

 ……そして、噂をすれば。

「おはよう杏。」

「……おはよ、乾。」

「あはは、相変わらず冷たいね。咲来さんもおはよう。」

「乾君おはようっ。」

「え、あ……ちょ、朝から抱き着かないで!」

 そして今、問答無用で杏ちゃんに抱き着いているのは元プレイボーイの乾君。

 私は一度だけ、乾君に助言した事がある。

 でも杏ちゃんにもした事あるから、二度かな。

「ほんと、離してってば……!」

「まだ数秒しか抱きしめてないじゃん。それに、恋人なんだから別にいいでしょ?」

「恋人じゃない……! まだ仮だからっ……!」