甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

「ねぇ、空音。」

「ん? どうしたの?」

 だけどそれを遮るように、風真君が私の名前を呼んだ。

 不思議に思ってすぐに尋ねてみる。

 すると風真君は一瞬だけ悩んだような素振りを見せた後、ゆっくりとこう口に出した。

「空音はさ、オカルトにしか興味ないの?」

「……オカルトだけ、ってわけじゃないけど……」

「ならさ、空音。」

 もう一度、私の名前を呼ぶ風真君。

 けどさっきとは違い、真剣さが含まれているような気がした。

「……恋愛には、興味持ってる?」

「えっ? それはないよっ。私、恋愛とは全くの無縁なんだから!」

 何を言うかと思いきや、恋愛の話って……風真君も案外、乙女チックなところがあるんだ。

 そんな考えに至り、一人ふふっと微笑みを浮かべる。

 私は恋愛には無縁だ。これはもう確定事項。

 恋愛よりもオカルトや勉強のほうが好きだし、恋愛は人の見るだけで十分。

 杏ちゃんの恋の行方とか、私は個人的に気になるしっ。

 ……それに私を好きになってくれる男子なんて、居ないだろうから。