「もしこれでお化け出てきたら、風真君恨んでやる……。」

「あはは、空音怖い事言わないでよ。」

「絶対だからねっ!」

「ふふ、分かったってば。」

 みんなグループで動き出した頃、私と風真君はそんな言い合いをしていた。

 ……と、言いますか。

「どうして風真君と二人っきりなの、私。」

「え、嫌だった?」

 嫌、ってわけじゃないけど……。

「風真君だけだったら、何だか頼りない気がする……。」

「えー、頼りないって酷いなぁ。」

「事実だと思うけど……。」

 実際、風真君はミステリアスな雰囲気でいざって時に助けてくれるようなタイプの人ではない気がする。

 こういう人は援護とか得意な人だ、絶対。

 風真君と出会った最初に思った事がそれだったから、あながち間違いではないだろう。

 私たちは【午前十時に寂れたトンネルに入ると、白い服を着た女の人が猛突進して襲ってくる】という都市伝説を調査しに来た……らしい。風真君情報だと。

 いかにもよくありそうなテンプレ都市伝説……。

 心の中で悪態を吐くように思い、二人でそのトンネルに向かう。