甘くて優しい青春恋物語 ~恐怖のドキドキと恋のドキドキは紙一重~

 やっぱり諦めるしかないのかなぁ……と、途方に暮れかける。

 その時おもむろに、風真君がこう口にした。

「何があっても、俺が空音を守ってあげるから。」

「……本当?」

「俺が嘘吐くと思う?」

「うん。だから確かめてるの。」

「あはは、心外だなぁ。」

 風真君が守ってくれる、か……。

 確かにそれだったら多少は何とかなるかもしれない。だって何かあれば風真君を壁にすればいいんだもん。

 でも、何だろう……何ていうか。

 ……風真君が何かを企んでいるように見えるのは、気のせいなのだろうか?

「……分かった、行く。」

「ありがと、説得されてくれて。」

「言い方がよろしくないよ、風真君。」

 けどもう、どうあがいたって何かが変わるわけじゃないのは確か。

 だったらいっその事、諦めて風真君を壁にして何かあったら逃げよう。

 私はそんなあくどい考え方を抱き、その日は帰った。



「もしもし風真君、やっぱり私行きたくな――」

《それじゃ待ってるからね。……ちゃんと来てね。》