「ふぁぁ……なーんだ。また夢だったんだ、つまんないの……」


「……」


「あ、ゆず、おはよぉ」


私はその人物に、ニッコリ笑って挨拶した。


「おはよぉ、じゃねーわ。いつまでたっても来ないと思ったら、案の定これか」


そしたら即つっこんできて頭を抱える彼は、幼なじみの芹沢柚希(せりざわ ゆずき)


幼い頃から家が隣同士で、同じ高校に通っている。


ほぼ毎日一緒に登校しているくらいにはとっても仲良しで。


名前も少し似てて、『なず』と『ゆず』ってお互いに呼びあってる。


しっかり者で面倒見がいいゆずは、同い年だけど一人っ子の私にとって、優しくて頼りになるお兄ちゃんみたいな存在で、大好きな人なんだ。


「えへへ、ごめんね。でも私、昨日はちゃんと起きたでしょ?」


「今日もちゃんと起きろ」


「いだっ」


頭を軽くチョップされた。


「ったく……、俺がいなかったらお前、いまごろ遅刻常習犯だぞ」


「あはは、ほんとだよね〜。ゆずがいてくれて良かったぁ」