「あー!オレ、面白いこと思いついちゃった!」


ピリつく空気をぶち壊すように声を上げたのは廉。


ポンっと、手のひらの上をぐーが跳ねた。
廉の思いつき……めんどくさくなりそうな予感がする。


「桃と百合が同じ格好をして、交代でパフォーマンスしてみせてくれたらいい!」


『オレたちはどっちが先にやるかとか、知らないまま観るんだよ!』って、どこかの格付け番組じゃないんだからさ……。


満面の笑みが小憎らしい。


これが廉の人気ポイントでもあるんだけどね。


「ファンへ見せるものじゃないし、昴をぎゃふんと言わせるためならちょっとくらい痛くても踊るもん!!」


「本人もこう言ってることだし……百合の髪は黒だけど、隣のメイクルームのウィッグを使えばなんとかなるねぇ」

「ライブ中は遠目で顔が見えにくくなるし、踊れるんだったらありかも……?」

「オレたちはプロと同じ実力なんだから、短い時間でも百合の力を見抜けるはずだよね?」


桔花、藍斗、廉で話が進められていく。
プライドの高い昴は、廉に(あお)られて……


「当然だ。ほら、早く着替えてこい」

「よし決まり!百合ちゃん、行くよ!」


百聞は一見にしかずということで、話がまとまった。


……あれ、私の意見は聞いてくれない感じなの!?