空気がピリピリを通り越して、ビリビリしている。


学園長の部屋に向かっていただけなのに、なんでこんなことに……。


いや、偶然出会ったそこの人にかるーく声をかけられて、瞬時に昴が私の盾になった……って状況はわかるんだけども!


不穏な空気になるまでの展開が、早すぎるでしょうが!


「やっほ〜。桃ちゃんだよね?俺は(みやび)(りょう)だよ」


盾になった昴の向こう側で、物怖(ものお)じせずにこちらへ手を振る凌。


彼は雅のセンターだ。


和服を嫌味なく着こなし、品のある動きで周囲の視線をかき集める。


雅は全員和服を模した衣装で、和傘や扇子といった小道具を優雅に使いこなしたパフォーマンスを行う。


確かな実力もあるから、大手の芸能会社がこぞって契約を狙っているんだとか。


Sparkのマネージャーである私は、ちょっとだけ悔しかったりする。


実力では負けてないと思ってるから、ほんとにちょっとだけ。