「廉、それは聞いたら野暮(やぼ)だよぉ。昴は桃か百合に惚れ───」

「───百合!」

「へ……?」

「桃の代理を頼んだぞ」


くだらないことを聞く暇はない。


方向性が決まったのなら、物事を進めるべきだ。


……それに、そもそもこの学園は恋愛禁止だし。


少なくとも卒業までは、考えることすら許されない。俺が許さない。


「頼まれても……私たちだけで決めていい話じゃないよ!」

「だから、今から学園長のところに行く。リーダーとマネージャーがいれば十分だろ」

「それはそうかもだけど!」

「お前らはレッスンな」

「「ラジャー!」」

「「はーい」」


物分りのいいメンバーの返事を背中に受け、百合の手を引いた。


「代理やるの、リーダー命令だから」

「それずるい」

「逃げるなよ」

「逃げないよ」

「ふっ、さすが」


強気に見つめ返してくるところが頼もしい。


練習のとき、またあのファンサを見られるかも、なんて。


期待を抱きながら、学園長の元へ急いだ。