それは、とても綺麗で、優しくて、可愛い笑顔だった。
「はい!あの、栄養ゼリー買ってきたんですけど、飲めますか?」
私は、なんだか恥ずかしくなって、視線を逸らしながら、栄養ゼリーを渡した。
「あぁ。ありがとう。」
響音さんと、手が触れた。
受け取る拍子に触れただけだけど、とても大きくて、暖かい手だった。

なんだか私は、恥ずかしくなり、部屋を出ようとした。そうしたら響音さんに、名前を聞かれたのだ。
「あのさ、名前、なんて言ったけ?」
「…橋本、桜です。」
私が名前を伝えると、響音さんは繰り返し私の名前を、口の中で唱えた。
「桜…か。いい名前だな。桜、明日から俺の分の食事も作ってくれないか?」