その4/結界越え
”明治時代後期か…。今ある深刻な事態を招いた予兆はその頃に始まったのか…”
≪…その理由は主に二つだと思います。暗者という異能力、そして現象研究者という才を持つ後継者を残すことがなかなか叶わず、徳川時代末期にはその数が減って、牽制波動の効力がめっきり弱くなったという点です。逆に、長きに渡る照射で逆神は抗生もできて、また、波動の避け方も学んできたようでした≫
≪もう一つには、近代社会に入り、船や車や火力を生みだすことで吐き出される物質やエネルギーが大量に空間へ放流され、浮遊エネルギー体としての逆神をとりまく空間自体、激変をもたらした訳です。それに、逆神は極めて順応して己の意識実現に好都合な変体を劇的に取りこめたようなんです。その結果、ついに私たちの生きる世界との結界を飛び越えられる術を逆神に与えてしまったのです≫
”ここで重要なのは、浅間さんが結界を破ったとは表現していないことだ。少なくとも、この明治時代までは、ヤツの領空侵犯も、こっちのスキを突いてちょこちょこっとってニュアンスだった…。そう解釈できるが…”
...
≪暗者の衰退、逆神の劇的進化に、我々人間の世界の地球環境を含む激変が合わさり、先の戦争終結直前にとうとう決定的な転換が訪れます。広島と長崎に落とされた原子爆弾の化学反応を、浮遊エナルギー体を根とする逆神が、なんと原子核の臨界作用として”マスター”してしまったんです≫
≪これは推測ながら、浮遊エナルギー体内で核爆発の過程を繰り返し、いくつもの空間をエネルギー爆発の瞬間に行き来する運動体サイクルを身につけてしまったと見ています。この延長が、実態を伴ってこっちの世界に降り立つことを可能にしたと思っています≫
ここまで読んで、日下はもういろんな意味での諦めの念が去来した。
”浅間ユイが記したこの先は、おそらく俺の考え通りだろう。何てこった…”
”明治時代後期か…。今ある深刻な事態を招いた予兆はその頃に始まったのか…”
≪…その理由は主に二つだと思います。暗者という異能力、そして現象研究者という才を持つ後継者を残すことがなかなか叶わず、徳川時代末期にはその数が減って、牽制波動の効力がめっきり弱くなったという点です。逆に、長きに渡る照射で逆神は抗生もできて、また、波動の避け方も学んできたようでした≫
≪もう一つには、近代社会に入り、船や車や火力を生みだすことで吐き出される物質やエネルギーが大量に空間へ放流され、浮遊エネルギー体としての逆神をとりまく空間自体、激変をもたらした訳です。それに、逆神は極めて順応して己の意識実現に好都合な変体を劇的に取りこめたようなんです。その結果、ついに私たちの生きる世界との結界を飛び越えられる術を逆神に与えてしまったのです≫
”ここで重要なのは、浅間さんが結界を破ったとは表現していないことだ。少なくとも、この明治時代までは、ヤツの領空侵犯も、こっちのスキを突いてちょこちょこっとってニュアンスだった…。そう解釈できるが…”
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≪暗者の衰退、逆神の劇的進化に、我々人間の世界の地球環境を含む激変が合わさり、先の戦争終結直前にとうとう決定的な転換が訪れます。広島と長崎に落とされた原子爆弾の化学反応を、浮遊エナルギー体を根とする逆神が、なんと原子核の臨界作用として”マスター”してしまったんです≫
≪これは推測ながら、浮遊エナルギー体内で核爆発の過程を繰り返し、いくつもの空間をエネルギー爆発の瞬間に行き来する運動体サイクルを身につけてしまったと見ています。この延長が、実態を伴ってこっちの世界に降り立つことを可能にしたと思っています≫
ここまで読んで、日下はもういろんな意味での諦めの念が去来した。
”浅間ユイが記したこの先は、おそらく俺の考え通りだろう。何てこった…”



