都市夢ーとしむー

その15/エール



「イズミ、大丈夫だ。海外で何年も苦労して、やっと実を結んだんだろう?昨日、女性初のポストもゲットできた。そんなピカピカのお前を持って行かせはしない。心配するな」

慎也はやや声が小さかったが、可能な限りの言葉をイズミにかけていた。
そんな二人を目のあたりにし、沢井と日下は胸が締め付けられる思いに襲われた。

「イズミさん、志田君の言う通りだ。俺たちも可能な限り知恵も絞って力を尽くす。具体的な対処方策はこの後、話すから…。ヤツらにあなたを持って行かせやしない。なあ、沢井!」

この場で、先に”二人”へ言葉を投げたのは日下の方だった。

...


これを受けた沢井は、ソファに背をもたれて優しい笑みを浮かべながら、イズミと慎也へはややテンションを上げて語りかけた。

「うむ…。我々には、あの女魔人と長年対峙してきた強い味方もいる。ここからは、こちらから色々話すよ。はは…、まあ、ここらでひと休憩とろうか?」

沢井は明らかに二人を元気つけることを意識した上で、そう投げかけた。

すでに目頭を熱くしていたイズミだが、3人からの”エール”が無性にうれしく、気が付くと笑顔になっていた。

彼女はキリッとした表情でこう答えた。

「いいえ。早く聞きたいです、その味方の人とか。ここからの話を…。そのあとでおトイレ行かしてもらいます。慎也もいい?」

「ああ。沢井さん、日下さん、頼みます!」

”よし…、二人とも、しんどい気持ちをよく凌いでくれた。さあ、話すぞ!今まで俺の知り得たすべてを…”

時計の針はすでに6時15分を指していた…。