カラカラと窓が閉まる音がして、読んでいた本を閉じた。 「…あ」 振り返ると名波先輩が窓を閉めて、暗幕をくぐろうとしていた。 「戸締まりよろしく。メダカ」 そう言って名波先輩は左手を上げた。 「……メダカ?」 自己紹介をしたはずだけど、彼の中で私の名前はもう“メダカ”らしい。 カラカラと扉が閉まる音を聞きながら、私は「変な人」と呟いた。