始まってすぐに4人組のバンドが出てきたけれど、会場は薄暗くて顔もよく分からない。 紗良がトップバッターだって言っていたからこのバンドが葉山先輩のバンドのはずだ。 特にトークや挨拶もなく、音楽が鳴り始めた。 同時に少し明るくなったステージ上の人物を見て、私は目を見開いた。 「えっ??」 観客の歓声と、大音量の音楽でかき消された私の声。 でも、しっかりと目が合った。 ギター片手にセンターマイクで歌う名波先輩と。