“いつもコソコソしてんね”
先輩に言われた言葉が頭の中を旋回する。
名波先輩みたいに、いつも堂々としていて、自由に行動することに何の違和感も、ためらいもない人には分からない。
私には、こんな人間です、こんな事が出来ますって、胸を張って歩けるようなことはない。
いつも誰かと比べて、他人の目を気にして、何にも自信が持てない。
そんなの、コソコソするほか無いじゃないか。
足元を見るとちょうどつま先に転がった石ころ。
駅までの10分間、それを蹴り飛ばしながらずっとそんな事を考えて歩いた。
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