「え?」


「昨日。キツイこと言った。俺、お前に弱いとこ見られるの嫌だった。」


いつも無表情でクールな彼にこんなこと言われる日がくるなんて、思わなかった。こんな黒淵くん見たことなくて、少し嬉しいのは秘密。


「別に。」


「なんだそれ。俺の真似?」


「そう!似てた?」


「全然似てない。」


えーと言う私にふっとふき出す彼。笑った顔はいつも思うけど、幼く見えて少し可愛いんだ。


「でも手当てはさせてね。今日の体育のとき怪我大丈夫だったの?」


「今日はサッカーで腕使わなかったから。でも手当てはさせられない。」


「な!なんで?」

ま、まさか私がバカだから、手当てが下手とか…?


「お前、血苦手だろ。手震えてた。」


「でも……ちょっとぐらいは大丈夫だよ。」


「いや、ダメだろ。」

黒淵くん、私が血苦手なんて言ってないのに、気づいてたんだ。胸がきゅっとして感じたことない温かさがした。


「でも何かあったら言って。」

「わかった。」

いつのまにか私の頭から外されてた手を自分の口元に添えて、黒淵くんは頷いた。