響さんの腕に抱かれて、ついさっきまでのことを思い返す。
私、彼と本当の夫婦になれたんだ。

酒色にふけっていた彼が、私との契約で女断ちをして数か月。
まさか、本当に守るとは思ってなかったのに。

彼の、私への想いが彼をそうさせたのか。
同じベッドで寝ててもセーブしててくれた。
だからこそ、感じ取るものがある。

実際、彼がどうやって女性を抱いていたかだなんて、知る由もなくて。
考えれば考えるほど、嫉妬心に駆られて、正気でいられそうにない。

だけど、あんな風に凄く優しく丁寧に触れられたら、幸せを噛みしめずにはいられない。

初めてだから、私が痛がらないように本当に尽くしてくれて。
正直、もっと壮絶に痛いものだと覚悟してたのに。
本当に最初だけだった。
まぁ、終わってみれば多少ヒリヒリとはするけれど。

生理痛よりは痛くない。
私が重いタイプってのもあるかもしれないけれど。
生理痛で意識を失くしたことなんて何度もある。
あれに比べたら、今の痛みなんて、熱々のカップに触れた程度。

それよりも快感の方が勝ってただなんて。
初めてなのに……。

やっぱり、彼のテクなんだろうな。
沢山の女性を抱いて来た経験値。
そう考えると、腹が立つけれど。

『俺も今日、初めてだった』だなんて聞かされたら、過去の女性たちに勝てた気がして。
彼をもっともっと独占したくなってしまう。
それに、経験値の高い過去の女性陣と比べて、私では物足りないんじゃないかと思えて。

「響さん」
「っ……煽んなって」

煽るのも、甘えるのも、おねだりするのも。
―――私だけの特権ですよね?

「もっと、もっと……愛して下さい」
「っっ~っ、あーもー知らねっ!今夜は寝かさねぇぞ」

諦めなくてよかった。
長年想い続けた最愛の人の腕の中で“愛される倖せ”を噛みしめられるのだから。

~FIN~