とはいえ、階下に行く為の手段は他にない。

 結局、彼におぶさった。

 意外にも、クレイグはがっしりしていた。

 首に腕をまわして身をゆだねると、彼の肩や背が異常なほど筋肉質なことがわかる。しかも、段を降りる一歩一歩が力強く、しかも軽快である。

 昔、勇者とか剣士とかをしていて、ドラゴンや魔物と戦っていたのかしら?

 というくらい立派な体格なのだ。

 そして、クレイグはわたしを軽々と書斎まで運んでしまった。

 書斎の前でおろしてというわたしの懇願を無視し、彼はそのまま書斎に入ってしまった。

 バーナードとコリンが執務机をはさみ立ち話をしていたけれど、わたしたちの姿を認めた瞬間、二人ともピタリと口を閉じてしまった。