「おばさ……、あ、いえ、母上。彼女、大丈夫?」

 ヘンリーはわたしのことをおばさんと言いかけ、演じていることを思い出したらしい。

 慌てて言い直した。

 そんな彼がちょっとだけ可愛いと思った。

「ええ、ヘンリー。ノーラは大丈夫よ。いまからもう休むところ。話なら、明日するといいわ。さあ、入ってノーラにおやすみの挨拶をなさい」

 ヘンリーが隣家でノーラをかばったのは、ほんとうに驚きだった。

 彼の意外な一面だった。

 ほんとうに男らしかった。まだほんの子どもなのに、いざとなったら頼りがいのある男になるのね。