彼女には、客間の一つを使ってもらうことにした。わたしの隣の部屋である。

 夫であるはずのコリンが主寝室を使い、わたしはその続きの間を使っている。ノーラの部屋は、そのわたしの部屋の隣というわけ。

「ノーラ。いまさらだけど、はじめまして。ミヨ・アッシュフィールドよ。今夜はもう遅いから寝た方がいいわね。明日、話をしましょう」

 客間にある長椅子に座ったまま彼女に声をかけると、彼女は無表情のままこちらを見ている。

 そういえば、一度も口をきいていないわね。それから、ずっと無表情だわ。

 気にかかっていることである。

 そのとき、控えめに扉が叩かれた。

「どうぞ」

 返事をすると、少しだけ扉が開かれた。すると、ヘンリーの可愛らしい顔がのぞきこんできた。