それにしても、この屋敷はいったいなんなのかしら?

 コリンによると、亡くなった男爵は吝嗇家だったらしい。といえばきこえばいいけれど、はやい話がドケチだった。使用人は雇わず、屋敷の手入れはせず、ひたすらお金儲けにいそしんでいたというから驚きだわ。

 アッシュフィールド公爵家から見えていたように、レッドメイン男爵家の敷地内すべてが荒れ果てている。建物の内部と外部を問わず、ゴミや異物や得体の知れないもので溢れ返っている。

 棺は、なぜかエントランスに置かれている。しかも無造作に。そこにもゴミや埃や塵などが積もっているらしく、棺の下にはなにやらわけのわからないものが下敷きになっている。

 棺の蓋が開いている。だから、故人に挨拶しようとのぞきこんでみた。

 その瞬間、あまりの衝撃にふらついてしまった。

 わたしに肩を貸してくれているクレイグが支えてくれなかったら、うしろにひっくり返ってしまうところだった。