「オルコット、ずいぶんと勝手なことをしてくれたな」

 コリンは、ウンウンとうめきながら体勢を整えようとしている叔父を見おろしつつ言った。

 その冷たく低い声は、王宮のときと同様ゾッとさせるものがある。

「貴様は、大切な妻子を傷つけた。その代償は高いぞ。貴様の借金よりもはるかにな」

 コリンは、問答無用で鞭を振り上げた。

「ひいいいっ」

 それに気がついた叔父は、腰を抜かしたようにズリズリと廊下を這うようにして逃げようとしている。

「貴様が愛する妻にやってきたことだ。妻が味あわせてくれたのと同じ痛み、苦しみをくれてやる」
「コリン」

 たまりかねて彼の名を叫んでいた。その叫びに、「ビュッ」と鞭が空を切る音が重なった。