「ミヨ、すまない。ノーラ、大丈夫か?」

 肩を抱かれたときには、あたたかくて頑丈な胸板に上半身を預けていた。

「コリン」

 コリンである。彼の美貌越しに、バーナードとクレイグ、メイド役のボニーとヒラリーが立っているのが見える。

「コリン、大丈夫よ。ごめんなさい。また、問題を起こしたわね。あ、ノーラ。あなたは? ケガはない?」

 コリンの立派な胸に抱かれているのは、わたしだけではない。ノーラもである。

 彼女に問うと、コクリと小さく頷いた。

 心からホッとした。

「いや。今回はおれの誤算だ。ノーラを頼む」

 彼は、わたしにノーラを託すと立ち上がった。

 その彼の右手には叔父から奪い取ったらしい鞭が握られている。