「奥様」

 ジェフが近づいて来た。

「申し訳ございません。エントランスでお待ちいただいていたはずが、テラスから勝手に……」
「あなたのせいじゃないわ。彼らが悪いのよ」

 ジェフにささやいてから叔父たちをにらみつけ、さらに居丈高になるよう努力した。

「とにかく、あなたたちはいますぐ出て行ってちょうだい」

 いまのどうだったかしら?

 うまく出来たことを祈るしかない。

 体が震えている。

 その震えが、怖れによるものでないことを祈るしかない。