「ノーラ、どうしたの?」

 彼女はヘンリーを指さしつつ、なにかを伝えたいみたい。

「もしかして、ヘンリーも? ねぇ、そうでしょう? ヘンリー、あなたも受験する資格を与えられたのね?」
「う、うん。だけど、違うよ。ノーラのお蔭なんだ。じつは、ノーラも知っていたんだ。お茶会と称する試験のことを。どんな形式で出題されるのかも。だから、図書室でヤマをはって、二人で必死に勉強をしたんだ。いいや、違う。ぼくが彼女に教えてもらいながら、必死に頭に詰め込んだんだ。ノーラは、覚える必要なんてない。だって、彼女はどんな資料や本であってもサッと目を通すだけで頭に入ってしまうのだから」