いつもだったら「顔が近い」とか「離れてよ」とか憎まれ口を叩くけれど、いまはそんな余裕はない。

 違う。いまは、より近くにいて欲しい。

 口づけをして欲しい。そして、抱いて欲しい。

 そんなはしたないことを望んでいる自分がいる。

 それは、背中の痛みなどよりずっとずっとわたしに痛みを与えた。

 彼のことが好きだということ、そして、その想いはぜったいにかなわないといこと。

 その痛みは、わたしの意識をいっきに奪ってしまった。