彼のすべてを求めている。そして、彼のすべてを欲している。

 二つの感情にもみくちゃにされ、どうにかなってしまいそうと怖くなった。恐怖のあまり。彼にしがみついていた。

 そのとき、顎に彼の指が添えられた。

 ギュッと閉じていた瞼をゆっくり開けると、すぐ目の前に彼の顔があった。

 ほんとうに美しい。

 淡い灯火の中、彼の美貌が浮かび上がっている。