「王宮では、サザーランド伯爵を殴りたかった。いや、殴り殺したかった。彼がきみを傷つけた何倍も、彼を傷つけてやりたかった」

 彼の口が右耳によせられ、そう囁かれた。

「きみのろくでなしの叔父一家に会うようなことがあったら、おれはなにをしでかすかわからない。理性を保つことは出来ないだろう」

 彼の両腕に力がこめられ、さらにギュッと抱きしめられた。