思いだけではない。涙も溢れ、頬を伝い始めた。

 これまで考えないようにしていたことが、つぎからつぎへと溢れてくる。

 心の奥底に閉じ込めていたものが、いっきに放出されたといってもいい。

「ああ、そうだ」

 そのとき、コリンが椅子から寝台の上に座り直した。

「きみの言う通りだ。そういう意味では、知らせる必要がなどなかった。だが、違うんだ。違うんだよ」

 彼の腕が肩にまわされた。そのまま彼に引き寄せられ、見た目よりずっと立派な胸に抱かれる。

 背中に痛みが走ったけれど、グズグズと出続ける涙を止める方に気を取られてすぐにそれは消え去った。