「まさか後妻のふりをするだけでも品行方正なきれいな身でなければならないなんて、まったく思いもしなかったわ。だって、そうでしょう? 同じ偽るとしても、書類上では結ばれている状態で、冷たい関係だというならまだしも……。わたしたちは、そういう関係ですらないわよね。わたしたちはただの役者。これはすべて演技。全部演じているだけ。そこに愛などない。コリン、そうでしょう? あなたがそう言ったのよ? それなのに、虐待をされず、裕福で満ち足りていてしあわせな毎日をすごしている必要があったなんて……」

 コリンが黙っているのをいいことに、思いがあふれて口から勝手に出てしまう。