不意に鞭が止まった。その威圧感におされたに違いない。

 恐る恐る瞼を開けると、泣いてぐちゃぐちゃになっているフランクの顔があった。なんとか首をまわしてうしろを見た。

 そこには、わたしたちをかばうようにし、伯爵の鞭を手で受け止めているコリンの背中があった。

「貴様、妻を鞭打ったな?」
「な、なんだ?」
「妻を鞭打ったな、と尋ねたんだ」
「し、知らん。おれはただ、息子に躾をしようと……」