「やめろっ! 母上っ」

 ヘンリーの叫びがきこえる。

「やめてっ」

 そして、きいたことのない女の子の叫び声もきこえる。

「貴様っ、やめろっ」

 そのとき、けっして大きくも鋭くもない声がきこえた。小さくて低いその声は、まるで地を這うかのように流れていった。そのあまりにも不気味な感じは、ゾッとさせるものがあった。