案の定、大人たちはわたしにいろいろ尋ねてきた。

　彼らは、わたしが自己紹介する以前にわたしのことを知っていた。

　とはいえ、アッシュフィールド公爵夫人ということくらいだけど。

　そして、「ひきこもり公爵」で有名な現公爵が、数十年ぶりに沈黙を破る為に王都にやって来た、というまるでくだらない小説のサブタイトルみたいな噂を知っているだけだった。

　それにしても、アッシュフィールド公爵ってどれだけひきこもりまくっているわけ？

　そんな不名誉というか神がかり的というか、そういう噂が立っていることじたい、ある意味すごいとあらためて実感してしまった。

　それはともかく、投げつけられる問いのほとんどがどうでもいい内容ばかりである。向こうは、ただわたしが粗相をするのを待っているだけ。そして、泣きだすまで虐めたいだけ。

　それがわかっているから、くだらない問いに適当に応じていた。

　そうすると、東屋の方が騒がしいことに気がついた。

　そういえば、ヘンリーとノーラが戻ってきていないし、他の子どもたちもいなくなっている。