とはいえ、あそこにいる意地悪な目つきの古代獣たちが、アッシュフィールド公爵家をどう捉えているかわからない。さすがに名前は知っているでしょうけれど、「ひきこもり公爵」とくらいしか認識されていないかもしれない。それだったら、「ひきこもり公爵夫人」として蔑まれるかしらね?

 まあ、いいか。

 わたしらしくないわ。思い悩む方がバカバカしい。

「ノーラ、大丈夫?」
「ノーラ、嫌だったら戻る? 嫌じゃなかったら、ぼくがついているからね」

 わたしの気遣いにかぶせ、ヘンリーがノーラを気遣った。

 まあ、いいんだけどね。

 心の中で苦笑してしまう。