「ノーラの、その、父上が亡くなり、レッドメイン男爵家が大変なことになっていると……。心配で屋敷によってみたのですが、立ち入り禁止だったのです。警察に彼女の消息を尋ねてみましたが、答えられないとにべもなく言われてしまいました。まさか、今日ここで会えるとは……」

 ジャクソンは、驚きとうれしさが入り混じった表情を知的な顔に浮かべている。

「教授、時間をいただいても?」
「え、ええ。少しなら」
「チカ。父上と子どもたちと庭園に行っていなさい。食べ物や飲み物があるはずだから」
「はい、あなた」