彼は、万が一にも乗馬をすることになってもいいように馬車に乗馬服一式を積み込んでいる。

 でも、彼に恥をかかせることになるわね。

 怖れていることが、はやくも現実になってしまった。

 コリンにエスコートしてもらいながら、彼に小声で詫びた。

 嫌味の一つや二つ、三つや四つ覚悟しつつ。

「かまうものか。夜会ではないんだ。乗馬大会は、ちゃんと触れていた。その為の恰好をしてくるのは、マナー違反ではない。それに、恰好だけを言うなら夜会で挽回すればいいだけだ」

 やはり、嫌味を言われてしまった。

 夜会で挽回だなんて、ぜったいにムリムリ。

 それがわかっていながら、涼しい顔をして言うだなんて。