そんな感じで小説を選ぶふりをしつつさりげなく様子をうかがうと、二人は広い机の上に何冊もの分厚い本を積み重ね、さらに何冊もの本を広げ、必死に読み上げたり黙読している。

 なにを言っているのかチンプンカンプンだけれど、どうやらこのホルスト王国の歴史や歴史上の人物についての本らしい。

「おばさん、まだ? 集中したいから、選んでさっさと出て行ってよ」
「はいはい、わかったわよ。まったくもう、もっと可愛らしくなれないかしらね?」
「おばさんっ!」

 叱られてしまった。

 目についた小説をつかみ、図書室の扉へ向かいかけた。