無意識のうちに立ち上がり、彼に詰めよっていた。

 声に出し、当たり前の疑問をぶつけたかった。

 その瞬間、彼がわたしを抱きしめた。

 いつまで続くのかと思えるほど、彼はわたしを抱きしめ続けた。

 その抱擁は、やさしくて悲しかった。

 彼の胸の中で、なぜか涙が溢れてきた。

「がんばった」

 その一言がうれしかった。

 コリンの口からでたその一言が、わたしに涙を流させた。

 書斎内は、ずっとずっと静かだった。